温暖化問題
GLOBAL WARMING
パリ協定
パリ協定とは
パリ協定とは、1997年に定められた「京都議定書」の後継となるもので2015年にフランスのパリで開かれた温室効果ガス削減に関する国際的取り決めを話し合う「国連気候変動枠組条約締約国会議(通称COP21)」で主要排出国を含む多くの国が参加。締結国だけで、世界の温室効果ガス排出量の約86%、197か国・地域をカバーするものです。
これは2020年以降の気候変動問題に関する国際的な枠組みです。
COPとは?
Conference of the Parties=締約国会議の頭文字。「気候変動枠組条約」の締約国会議を指す言葉として使われる。1995年にドイツのベルリンで1回目の会議=COP1が開かれて以降、毎年開催されています。
第3回目のCOP3が京都会議、第21回目のCOP21がパリ会議です。
第3回目のCOP3が京都会議、第21回目のCOP21がパリ会議です。
パリ協定の概要
パリ協定の目的は、「世界共通の長期目標として、産業革命前からの平均気温の上昇を、2℃より十分下方に保持する。1.5℃に抑える努力を追求する」です。
目的を達成するため、今世紀後半に、温室効果ガスの人為的な排出と吸収のバランスを達成できるよう、排出ピークをできるだけ早期に抑え、最新の科学に従って急激に削減する。
各国は約束(削減目標)を作成・提出・維持する。
削減目標の目的を達成するための国内対策を取る。
削減目標は、5年ごとに提出・更新し、従来より前進を示す。
削減目標の目的を達成するための国内対策を取る。
削減目標は、5年ごとに提出・更新し、従来より前進を示す。
全ての国が長期の低排出開発戦略を策定、提出するよう努めるべき。
(COPの決定により、2020年までの提出を招聘)
(COPの決定により、2020年までの提出を招聘)
5年ごとに全体進捗を評価するため、協定の実施を定期的に確認する。
世界全体の実施状況の確認結果は、各国の行動および支援を更新する際に参考情報として活用される。
世界全体の実施状況の確認結果は、各国の行動および支援を更新する際に参考情報として活用される。
歴史的快挙と言われる重要ポイント
<途上国を含むすべての主要排出国が対象になったこと>
パリ協定では途上国を含む全ての参加国に排出削減の努力を求める枠組みです。また、京都議定書でも定められていた途上国に対する先進国の資金支援については引き続き義務とされ途上国にも自主的な資金提供を奨励することになりました。
主要国の二酸化炭素削減目標
二酸化炭素排出量(2017年)が最も多い中国は毎年約90億t、2番目に多いアメリカは約50億tを排出し、全世界の約43%も占めています。日本は、中国やアメリカの1/4以下ですが、世界で5番目に多い排出国になります。
<途上国を含むすべての主要排出国が対象になったこと>
1990年比 | 2005年比 | 2013年比 | |
---|---|---|---|
日本 | -18% | -25.4% | -26% |
アメリカ(※1) | -14~-16% | -26~-28% | -18~-21% |
EU | -40% | -35% | -24% |
ロシア | -25~-30% | -10% | (※3) |
カナダ | -13% | -30% | -29% |
中国(※2) | -71~-81% | -60~-65% | (※3) |
※1:アメリカは2025年を目標年としている。
※2:中国はGDPあたりCO2排出量を目標指標としている。
※3:現時点でデータが存在していない。
参考:国立環境研究所2014、World Bank2015、各国の「温室効果ガス排出インベントリ報告書(NIR)」
※2:中国はGDPあたりCO2排出量を目標指標としている。
※3:現時点でデータが存在していない。
参考:国立環境研究所2014、World Bank2015、各国の「温室効果ガス排出インベントリ報告書(NIR)」
日本の目標(約束草案)
日本の脱炭素化に向けた課題と目標
日本の場合、エネルギー消費効率はほかの主要国と比べて高いものの、電源(電気をつくる方法)を見ると、「非化石化」(発電の元となるエネルギー源を化石燃料以外の燃料とすること)や、「低炭素化」(化石燃料を使う場合においても、従来の石炭・石油から、ガスのような低炭素な燃料へと転換していくこと)は低い状況となっています。
パリ協から5年 首脳級オンライン会合(2020年12月12日)
パリ協定採択5周年を記念する首脳級のオンライン会合が2020年12月12日、英仏と国連の主催で開かれました。「気候野心サミット」と名付けられたオンライン会合は、2021年11月の第26回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP26)に向け、温暖化対策への意識を高めようと開かれた。70を超える国や地域の首脳がビデオ演説し、気候変動対策に取り組む決意や目標を表明しました。
会合の内容
国連のグテレス事務総長は会合の冒頭で「パリ協定の目標達成にはほど遠い状況だ」と語り「方向を変えなければ壊滅的な気温上昇に直面することになる」と危機感を示した。温暖化ガス排出量の実質ゼロ実現へ、取り組みの加速と連帯を世界に呼びかけた。
日本の取り組み
菅義偉元首相は2050年までに温暖化ガス排出量を実質ゼロにする日本の方針を説明し「グリーン社会の実現に努力していく」と訴えた。「温暖化への対応は経済成長を妨げるものではなく、むしろ大きな成長につながる」と語り、温暖化ガス排出量を50年までに実質ゼロにする目標のもと、次世代太陽電池やカーボンリサイクル、水素などの技術革新を推進すると強調した。世界の脱炭素化の支援へ20年に官民で1.3兆円規模の支援を実施すると。
また、2030年までの日本の取り組みについてCOP26までに国連に報告すると述べた。
また、2030年までの日本の取り組みについてCOP26までに国連に報告すると述べた。
中国の取り組み
中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席は「30年までに国内総生産(GDP)あたりの二酸化炭素(CO2)排出量を05年比で65%超削減する」との新たな目標を示した。従来の「60~65%減」から引き上げた内容に変化した。
また、「1次エネルギー消費に占める非化石燃料の比率を25%程度に引き上げる」などとも表明した。習氏は9月の国連総会の一般討論演説で、CO2排出量を60年より前に実質ゼロにすると宣言している。
また、「1次エネルギー消費に占める非化石燃料の比率を25%程度に引き上げる」などとも表明した。習氏は9月の国連総会の一般討論演説で、CO2排出量を60年より前に実質ゼロにすると宣言している。
イギリスの取り組み
主催した英国のジョンソン首相は、脱炭素の推進を通じて「世界全体で数十万、数百万の雇用を生み出せる」と語り、「グリーン産業革命」の主導に意欲を示し、4日の欧州連合会議では同期間の削減目標を90年比53%減から68%減へと引き上げた。
欧州連合(EU)の取り組み
2020年12月10~11日の首脳会議で、域内の排出量を30年までに1990年比で55%減らす目標で合意し、従来の40%から踏み込んだ。
アメリカの取り組み
パリ協定を離脱した米国は会合を欠席した。ただ米大統領選で当選を確実にしたバイデン前副大統領は採択5周年に関する声明を同日出し「大統領就任初日にパリ協定に再参加する」と述べた。政権発足後速やかに復帰手続きに着手する構えだ。
その他国の取り組み
各国首脳メッセージの多くは、新型コロナウイルス禍で落ち込んだ経済の回復と成長を環境政策の強化でめざす「グリーンリカバリー(緑の復興)」の視点について。温暖化ガス排出量を実質ゼロにする「カーボンニュートラル」をめざし、中間計画として30年時点の目標を強化する動きが相次いでいる。